ついに目覚めた欧州、日本はまだ眠り続けるのか

2025年03月25日
ついに目覚めた欧州、日本はまだ眠り続けるのか
アメリカ株の市場が下げ基調に転じている。代表的な指標であるS&P500種指数は2月19日に最高値6144ポイントをつけた後、3月13日には5521ポイントとなり、1カ月弱で10%下落した。14日は前日比2%以上反発(5638ポイント)したものの、調整相場入りギリギリの局面にある。
関税賦課でアメリカのインフレ率は一時的に上振れへ
アメリカのドナルド・トランプ政権が、カナダやメキシコに対する関税賦課を決定した後に、再び一部品目の関税発動先送りを発表するなど、政策対応が日々動いていることが「政策の不確実性」として意識されている。しかも、3月9日にトランプ大統領が「アメリカ経済は過渡期にある」と発言したことが、市場心理をさらに悪化させている。
今のところ、実際にはカナダなどへの関税賦課はほとんどが先送りされ、トランプ政権は外交交渉のツールとして利用しているが、関税賦課が強まるリスクは高まっている。
4月に向け今後の交渉次第だが、カナダなどに幅広い関税賦課が実現するなら、同様に欧州や日本に対しても自動車などの重要品目に関税が賦課されることになる。3月14日、ハワード・ラトニック商務長官は同国のテレビ番組で自動車関税に関して、日本を対象から除外しない方針を明らかにした。
筆者は、最終的には関税賦課率はアメリカ政府の主張ほど高まらないと引き続き想定している。ただ、筆者の従前の想定よりも関税率はやや高くなり、輸入インフレによってアメリカのインフレ率も一時的に上振れそうである。
一方で、もし関税賦課でインフレが上振れるとしても、FRB(連邦準備制度理事会)の金融政策を大きく変えるには至らないと考えている。なぜなら関税引き上げ率が想定よりも高まり、インフレ率を一時的に高めても、同時にそれは経済成長にブレーキをかけるためだ。
トランプ政権の政策対応が今後どうなろうと、「年内のいずれかには利下げが必要」とのFRBの判断は変わらないだろう。FRBの政策対応と、成長を高める財政政策が繰り出されることで、トランプ政権下でマクロ安定化政策が機能不全となるリスクは低い、と筆者は予想している。
ドイツは憲法改正、約80兆円の財政出動決定へ
「トランプ2.0劇場」にアメリカ株市場が翻弄される中で、世界の株式市場を見渡すと、ドイツなどの欧州株が3月に最高値を更新するなど高パフォーマンスが目立っている。2025年初からの欧州株の上昇は、ウクライナ戦争終結への期待に加えて、トランプ政権の誕生で欧州域内での軍事費を大きく拡大させる政治的な動きが明確になっていることが大きな要因だ。
欧州、中東地域での安全保障の関与を低下させるアメリカの動きが、トランプ政権でより顕著になる中で、欧州がロシアに対峙するための安全保障について力を入れざるをえないのは必然的な流れである。欧州の政治家は、現在が歴史的な転換点にあることを認識しているということだろう。
とりわけ、中核国のドイツでは、2月23日に行われたドイツの総選挙で保守連合のCDU・CSU(キリスト教民主・社会民主同盟)が勝利した。今後は4月中旬までをメドに、CDU党首のフリードリヒ・メルツ党首が首相となり、SPD(社会民主党)なども含めた連立政権が発足する。
すでに協議の中では、同国の財政赤字を抑制する債務ブレーキについての緩和、防衛・インフラ投資のための特別基金(5000億ユーロ=80兆円程度)に合意していたが、14日には第4党である緑の党の同意もとりつけ、憲法改正に必要な議会の3分の2以上の賛成が濃厚となった(18日に下院で採決予定)。
この特別基金は10年程度の期間で使われるとみられる。1年あたりにすれば500億ユーロで、これは同国の名目GDPの1.2%に相当する規模に達する。
つまりGDPの1%以上の追加的な財政支出が、防衛関連費用を中心に支出される可能性が高い。欧州はトランプ政権からの軍事費拡大要求を受け入れて、ドイツを中心に緊縮的な財政政策の大転換が始まったことを意味する。
2022年のロシアによるウクライナ侵攻以降、ドイツ経済はほぼゼロ成長の経済停滞が続いていた。ロシアに対してエネルギーを依存していた状況が一変する中で高インフレに直面したにもかかわらず、拡張的な金融財政政策が講じられなかったことが、経済停滞をもたらした最大の要因だった、と筆者は考えている。
今回、欧州は自らの力で生き残るために、安全保障強化などの投資拡大を進める政治決断が実現した。2024年からECB(欧州中央銀行)が利下げを続けて金融緩和に転じている中で、緊縮財政姿勢が拡張方向へと大きく転じるのだから、2025年半ばから欧州経済の成長は回復すると予想される。
経済成長と財政政策の拡大が期待される中で、2024年末にドイツの10年物国債の利回りは2%付近で低位安定していた。
だが、一連の流れを受けて2025年3月には2.8%台まで大きく上昇した。株式市場では、ドイツの代表的な株式指標であるDAX指数が昨年末から約10%上昇しており、先進国の中で一人勝ちの様相を呈している。これまで眠り続けている欧州が覚醒するとの期待が、金融市場で適切に反映されているといえる。
覚醒しない日本は今後も経済停滞の懸念
一方、好調な欧州株市場と対照的な値動きとなっているのが、日本株市場だ。TOPIX(東証株価指数)の年初来(昨年末比)の騰落率は約-2.5%と欧州市場に比べ大きく下回る(3月14日時点)。
特に2024年7月末に日本銀行が追加利上げを行った後から、日本株市場のパフォーマンス劣化が続いている。2024年初から日本の経済成長にブレーキがかかっているにもかかわらず、日本銀行の利上げに「前のめり」な姿勢は変わらない。
そして、石破茂政権も減税による拡張的な財政政策を事実上却下したことで、経済成長を高めるマクロ安定化政策がまったく実現せずに、経済成長にブレーキを踏む引き締め政策が続いている。
当初、短命政権になると思われた石破政権は発足から約半年が経過しようとしているが、支持率が低迷する中で7月の参議院選挙も次第に近づき、存続が微妙な状況にある。このまま石破政権が存続するか、あるいは次の政権が誕生しても、日本の政治家の多くが欧州のように覚醒しないとしたら、国内経済は今後も停滞を続けるだろう。

まあ、消費税を廃止するのが一番なんですが!
たのむさ
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Posted by ひだねこ  at 03:30 │Comments(0)
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